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千葉地方裁判所 平成6年(わ)275号 決定 1997年5月14日

本籍

東京都江東区清澄三丁目四番地

住居

同都葛飾区東新小岩一丁目七番一〇号佐久間病院

会社役員

後藤等

昭和一八年九月一日生

右の者に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、次のとおり決定する。

主文

本件公訴を棄却する。

理由

本件公訴事実は

「被告人は、東京都葛飾区東新小岩七丁目七番一号に本店を置き、不動産の売買及び仲介等を目的とする資本金一〇〇万円の有限会社五陽の代表取締役として、同会社の業務全般を統括しているもの、相被告人会社株式会社エステート本郷(以下「株式会社エステート本郷」という。)は、千葉県東金市南上宿三〇番地三八に本店を置き、不動産の売買及び仲介等を目的とする資本金三〇〇万円の株式会社であり、相被告人巻嶋芳一(以下「巻嶋」という。)は、平成元年九月二七日までは同会社の実質経営者として、同日以降は同会社の代表取締役として、同会社の業務全般を統括しているものであるが、巻嶋と共謀の上、株式会社エステート本郷の業務に関し、法人税を免れようと企て、同会社の不動産売買に際し、同会社と実際の売買先との間に右有限会社五陽が介在したかのごとく仮装して売上の一部を除外し、仕入を水増しするなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和六三年二月一日から平成元年一月三一日までの事業年度における株式会社エステート本郷の実際所得金額が三一七七万八三〇七円で、課税土地譲渡利益金額が五七八四万四〇〇〇円であったにもかかわらず、右法人税の納期限である平成元年三月三一日までに千葉県東金市東新宿一丁目一番一二号所在の東金税務署長に対し、法人税確定申告書を提出しないで右納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における法人税額二七七六万七〇〇〇円を免れ

第二  平成元年二月一日から平成二年一月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が二億二八四七万三一七一円で、課税土地譲渡利益金額が二億七三五一万五〇〇〇円であったにもかかわらず、平成二年三月三一日、前記東金税務署において、同税務署長に対し、同会社の欠損金額が九二八万四一九六円で、課税土地譲渡利益金額が一五七四万六〇〇〇円であり、これに対する法人税額が四七二万三八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一億七四〇九万二二〇〇円と右申告税額との差額一億六九三六万八四〇〇円を免れ

第三  平成二年二月一日から平成二年一月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が五億四八五三万〇七三六円で、課税土地譲渡利益金額が六億二一六三万八〇〇〇円であったにもかかわらず、右法人税の納期限である平成三年四月一日までに、前記東金税務署長に対し、法人税確定申告書を提出しないで右納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における法人税額三億四四五〇万四六〇〇円を免れ

たものである。

というものであるが、医師佐久間映夫作成の死亡の事実の有無等についての回答書及び東京都江東区長室橋昭作成の除籍謄本によると、被告人は平成九年四月三日東京都葛飾区で死亡したことが認められるので、刑事訴訟法三三九条一項四号により、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 吉本徹也 裁判官 小原春夫 裁判官 樋上慎二)

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